
冬の授業


12月
■学芸会
駆け回っているうちに終わってしまった。
子どもたちの演技は舞台の袖からチラッと見ただけだった。
みんなの力で出来た、という達成感があった。
舞台から降りてくる一人ひとりをほめてやる。
男子も女子も肩を抱いて喜び合っている。
他の先生方や父兄からも、たくさんの言葉をいただいた。
今日も下校したのは一番最後だった。
■クラス内での発表
「体を守るしくみ」で体の何でも調べの発表。ほぼ全員がちゃん調べていて、発表したので、私も看護婦さんに聞いた血液の話をした。子どもたちは予想以上の興味を示し、
「もっと調べてみたい」と言いはじめた。
Ryが
「自分たちでまとめないか?」と声をかけると、
3-4人が手を上げ、Erが手を上げると、女子まで手を上げ始め、ついにほとんどの子どもがやると言い出す。
「じゃあ、時間が無いけど休み時間を潰してもやるか?」
と言うと、それでいいとみんなが休み時間に集まって、相談している。
乗りやすいやつらだなー。いい子どもたちだ。
■ケンカ
女子のAsと男子のKeがケンカ。今のところ口げんかだが、かなり罵り合っている。あまりうるさいし両者が訴えに来るので、黒板に「口は災いのもと」と書いて話をする。そして提案。
「けんかするなら、先生の見ている前でやらせてやる。どちらかが泣いたらおしまいだ」というと、他の子どもたちは
「俺、Asが勝つほうに千円かける!」
「俺はKeが負けるのに一億円!」と、みんな女子のAsが勝つと思っている。
■教育研修
ということで他のクラス見学
自分のクラスは他の先生が見てくれる貴重な時間だ。
他の先生のクラスを見て、学ばせていただくわけだが、シリアスな企画である。その中で、自分のクラスは悪くないという感触を得られた。
こっそり自分のクラスを見に行くと、
みんなおとなしく授業を受けている。
でもどのクラスよりも元気のパワーが満ちていることを感じた。
教室の温度が一番高いクラスだった。
■チョコレートの日
バレンタインデー。ほとんどの女子がくれた。また、なぜかよそのクラスからも持ってきてくれる。職員室に入ると、「やっぱり一番たくさんもらったのはコモダ先生だね」と。机の上に積んであるチョコレートを見られて。ちょっと恥ずかしいというか申し訳ないというか、それでもちょっと嬉しい。
■校長による授業見学
「コモダ先生のクラスは、教室に入ったとたんいいクラスだと分かるわ。あれは作られた雰囲気じゃないわ」と、意外なお言葉。
「いや本当に、良い子どもたちに恵まれて感謝です」と言うと、
「それは四月に言うせりふだ。今の時期、子どもたちがああなのは、先生の影響ですよ。子どもは敏感で鋭いんです」
と言っていただけた。
私はあくまで子どもたちを誇りに思うけどね。
■席替え
「先生、席替えしよーよ」
「どうしてだ?」と聞くと、
その理由は先週チョコレートをあげたからだという。
「へっ?」という顔をすると、
「何よそれ」とからんでくる。
「義理チョコなんかでは先生は動かされないぞ」と言うと、
「違う、あれは本チョコなんだってば!」と大きな声で言う。
「だって義理だって念を押していたじゃないか」
「違うわよ!義理と愛情がごちゃまぜになったチョコなんだってば。そんなことも分からないの!」とキビシイ。
そんな感じで5人に囲まれて脅されて(?)久しぶりの席替えをしてやることになった。
これが最後だから、今回はみんなの希望を聞いてやることにする。そうしたら、一番人気の席は、教壇のまん前。普通は敬遠される席だと思うのだが・・・。男子同士で取り合いをし、その後女子代表と取り合いをして結局男子二名、つまりToとRyがその席を獲得した。女子はふくれている。面白いクラスだ。
3月
■合同授業
隣の先生が休みのため、二クラスを合同で行う。間仕切りを空けて広々とした教室での一日だった。隣のクラスの子どもを見て、同じ四年生でもクラスが違うとこうも違うのかと思う。2組の子どもたちは、今日はコモダ先生と聞いて喜んでくれたそうだが、わが1組は逆。とくに女子。AsとEr。
「イヤ、絶対イヤ!」
と言っても学校の方針なんだから。
授業中はおとなしくしているが、休み時間になると1組の女子が目を吊り上げてやってきて、
「どうしてあっちばかりに向いて話すの?」
「こっちにも来てよ!」と子ども丸出しで抗議してくる。
そのうち
「2組は先生が休むからいけないんじゃない」
「先生は私たちの先生なんだよ!」と言う事がむちゃくちゃである。
そんなこと言うもんじゃない、と諭すと
「もう、先生なんか大嫌い!!」とまで言われた。
ちょっとつらいなあ。
そう言うかと思うと、
「センセー、私たちは先生のことが大好きなんだよぉ。だからお願い」と脅したりなだめたりである。休み時間に2組の子どもたちが私に話そうとやってこようものなら、一触即発の雰囲気が作られる始末なのである。
■停電の日
学校が停電になる。アメリカではよくあることだが、これでは授業にならないというので昼から休校となり、保護者に子どもを迎えに来てもらう。待つ間、暗くなった教室で子どもたちとお話をする。いつもと違った雰囲気で、話題もいつもとは違う。
女子が「あそこの毛っていつはえるの?」「どうして生理があるの?」と真剣に聞いてくる。
■はげまし
Yuは「どうせできない」が口癖。
そんな彼に「やろうとする前からあきらめるな。たたけ、そうすれば開かれるぞ」と話すと、
Urちゃんが
「"たたきなさい。そうすれば開かれます"と聖書に書いてあるよ」と言う。すごいこと知っているねと言うと、
「だって、毎週教会に行っているんだもん」と明るく答えた。
この子はいつもにこにこしている。
■終業式
この一年なんとかやり通せた。
いい生徒たちに恵まれ充実した一年だった。
半年掛けて編集してきた文集を全員に渡す。
これはウチのクラスだけのサービスだ。
子どもたちがこの一年書いてきた作文や詩などは、
一つ一つが宝石のようにきらきらしている。
それをただ本人に返すだけではなく
クラス全体の財産にして共有したかったから
コツコツとワープロに打ってきたのだ。
「きっと10年たったら宝物になるから」
そういって一人ひとりに手渡した。
□さて、来年はどんな先生がいい?と聞くと、一斉に
「コモダ先生!」と答える。
別の先生だったらどうする?
「また先生のところに遊びに来る!」。
最後に、学年が別れてもみんなと先生の関係は別れないと話す。保護者宛に感謝の手紙を持ち帰ってもらい、夏から自腹で作り始めた文集を渡す。この日のために思いをこめて作った文集だ。
一人ずつ握手して別れる。





